『朝日新聞』1998年10月21日夕刊

 米国で今春発売され、爆発的な人気を呼んでいるインポテンス(性的不能)の治療薬「バイアグラ」。国内で進められていた製薬会社の臨床試験では、「問題なし」との結果が出た。承認までそれほど時間はかからないとみられ、承認されれば医師の処方せんを薬局で示し、購入することになる。一方、個人輸入などを通じて入手できる状況に歯止めはかかりそうにない。心臓薬との併用で死亡する危険があり、「精力剤」としての入手ルートに、規制を求める声も出ている。
 (科学部・服部尚)
  
 日本でバイアグラの承認申請を出しているのは、製造元である米ファイザー社の子会社、ファイザー製薬(本社・東京)。七月下旬に厚生省に申請した。承認に向けた動きは急ピッチで進んでいる。その背景には、「精力剤」として使うことを目的にした個人輸入が広がるのを警戒、医師の処方による正規ルートに早く乗せたいという厚生省の意向がある。
 もう一つの追い風は規制緩和。薬の審査を簡略化するため、先に承認した国の臨床試験(治験)データを活用するという日本、米国、欧州連合(EU)間の合意だ。ファイザー製薬は、三段階に分かれる臨床試験のうち最終段階の試験をせず、米国のデータを使った。
 国内の臨床試験は約三十病院で、二百四十人余りの患者に対して実施された。三割ほどにほてりや頭痛などが見られたが、いずれも症状は軽く、安全と判断された。これまでに約四十カ国で承認されており、投与量や副作用のデータに差はほとんどなかった。
 国内の医療関係者は解禁に向け、準備を始めている。日本家族計画協会が今月、東京と大阪で医師向けの講習会を開催。バイアグラの治験責任者で講習会にも協力した白井将文・博慈会記念総合病院顧問は「適切な使い方をすれば危険な薬ではない。使い方の徹底など、医師の教育に力を入れていきたい」と話す。
 治験担当医の一人、滝本至得・駿河台日大病院副院長は「バイアグラは、ぼっ起機能不全患者の七割に効果があった」という。
 承認後には、処方する薬の量は、医師が患者に性交頻度を尋ねた上で判断する。個人の性生活にかかわる問題だけに、真実かどうか確認するのはむずかしい。自己使用量以上の処方せんをもらい、転売する者が出ないともかぎらないとの見方もある。医師らは「診断時には慎重な対応が必要だが、決め手はない」と戸惑っている。
  
 ■副作用に不安
 「お笑いタレントが酒と一緒にバイアグラを五錠も飲んで倒れた。受けをねらったのだろうが、治療薬のイメージが壊された」と、ファイザー製薬の広報担当者は、承認に影響しかねないむちゃな使用に神経をとがらせる。
 バイアグラは、男性器へ血液が流れ込みやすくする物質を壊す酵素の働きを弱め、性的興奮時に、血液流入の状態を維持する。女性器でも効果が認められた試験結果もある。
 副作用で重大なのは、大半の心臓病患者が使っているニトログリセリンなどの硝酸塩系薬剤との併用。急激な血圧低下を招き、死ぬこともある。
 米食品医薬品局(FDA)によると、因果関係ははっきりしていないが、米国でバイアグラ服用後に死んだ人は約七十人に上る。
  
 ■野放し「怖い」
 最近、バイアグラと同じ効果があり、副作用が少ないといわれる米ゾナジェン社製の「バソマックス」という新薬も、国内で個人輸入代行が始まった。「バイアグラの最強のライバル」とされ、FDAに承認申請中の薬だが、すでに販売しているメキシコから輸入されているという。
 六月からバイアグラの個人輸入代行を始めた東京のある業者は、「売り上げが一億円を超え、厚生省より税務署がこわい」と話す。
 個人輸入は法で規制できない。日本薬剤師会の渡辺徹専務理事は「個人輸入が野放しだと、国内でいくら審査しても意味がない。この抜け穴をふさぐために何らかの規制が必要だ」と訴える。ただ、バイアグラが日本で承認されれば、適正な薬の値段も決まり、業者が高額で取引する例は抑えられると期待されている。
 現在は、輸入代行を装って大量輸入し、不特定の客に売りさばく違法行為も少なくない。厚生省は警戒を強めている。
  
 【写真説明】
 入荷したばかりのバイアグラを手にするチリの首都サンティアゴの薬剤師。チリでは9月から販売が始まった=AP

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