2001年06月04日 アエラ
男、30にして勃たず EDに映る男と女

 語ることがはばかられていた、このテーマ。
 でも、治療薬が出たりして、タブーではなくなった。
 そこで見えてきた、求めているものの違い。
 
 「女として愛されないなんて娘が不憫すぎる。別れるために、離婚調停に出す診断書を書いて」
 娘夫婦は夫の勃起障害(ED)のために2年前の結婚当初から性生活がうまくいかず、娘はそのためにずっと辛い思いをしている。このままでは子供もできないので、慰謝料を受け取り、きっぱり離婚してやり直させたい、というのがこの母親の言い分だ。
 
 ○外来患者の最多は30代
 医師は夫を病院に呼び、カウンセリングをしてみた。確かに勃起が不十分のため、セックスができずに悩んでいたが、どうもその裏には、寝床で横たわったままの「完全マグロ状態」の妻への遠慮や、一度失敗したことによる自信喪失が根強くありそうだ。
 「失敗して以来、妻の僕を見る目が変わったことで、ますます自信がなくなっていく。悪循環です。彼女の方から協力の姿勢を見せてくれれば、精神的にも楽だと思うんですが」
 この男性は見合いで妻と結婚する前は、女性との交際もほとんどない「オクテ」タイプ。そのうえ、妻の気持ちに対して過度に気を使ってしまうため、余計、「成就」が難しくなる。
 医師は診断書に「EDの治療には、妻の協力が必要」と書き添えたため、離婚は成立したが、妻への慰謝料は免除された。医師からみると、こういう母親が介入してくるケースでは、妻が夫の好条件につられて結婚したが、愛情はないケースが多いという。
 男女両サイドのED外来を設けている東邦大病院泌尿器科、永尾光一講師によると、
 「母親が介入したED診断書依頼は、月に3、4件は必ずある。夫婦の性の悩みをお互いに向き合わず、母親が出てきてしまう時点で、もう関係の復旧は難しい」
 この病院の男性外来を訪れる患者は、月に約120人。意外にももっとも多いのが30代、次が40代、50代、60代と続く。30、40代とも原因の8割前後は心因性ストレスによるもの。
 日本全体についての推計では、なんと最大で約950万人(98年、厚生省などの調べ)がこの障害に悩んでいるというから驚きだ。そのうち8割前後が糖尿や高血圧など身体的な病気や加齢によるもの、残りの約120万人が精神的な要因によるものという。
 永尾講師にEDになりやすい人の特徴を挙げてもらうと、
 「初体験が風俗産業のプロの女性で、しかも見合い結婚という、オクテでナイーブなタイプ」
 という。
 
 ○リストラ、転職の不安
 妻にそれなりの愛情はあっても、性的な欲望の対象としてみることが失礼だと考え、抑圧してしまう「お行儀の良すぎる」男性も少なくない。が、妻はそれを「愛情がないため」と考え、関係にすき間風が吹いて、ますます非協力的になるという悪循環なのである。
 仕事のストレスが原因になっているケースも多い。リストラや転職、人間関係の不安で、「セックスどころじゃない」という切羽詰まった心境になっている30代も、やはり「30にして、勃たず」。
 「最近はバーチャルな裸像やアニメでのマスターべーションなら興奮するが、生身の女性相手では自信がなく、失敗しやすいというタイプも出てきた。これもED予備軍です」
 と永尾講師。
 31歳の会社員、弘さん(仮名)もその1人。学生時代から彼女いない歴が長かったため、アダルトビデオを使ったマスターべーションが完全に習慣化していた。しかも手を使うのではなく、布団の摩擦を利用する「変形型」。そのやり方も強さや角度など「絶対これ」というツボがある。彼は10代から性について友人との情報交換もしたことがなく、しかも母親が厳格だったため、「勃起させることは、いけない、恥ずかしいこと」と刷り込まれており、いわゆる「半立ち」といわれる状態で射精させていた。
 その弘さんが見合いで結婚したから、夫婦生活は最初からお先真っ暗だった。
 「マスターべーションじゃないと、全然いけない。それにそもそも、最初から成立するのが数十回に1回。妻は態度がひどく冷淡になってほとんど口もきかず、今、離婚調停に入っている」
 
 ○「妻は子育て」と「免責」の夫
 勃起障害治療薬バイアグラを製造するファイザー製薬では昨年、俳優の佐野史郎夫婦をキャラクターに起用して、大々的にEDキャンペーンを行った。EDが治療可能な病気で「治療は恥ずかしいことじゃない」という認知を一般に広めようという趣旨だ。
 バイアグラについては人気の過熱ぶりも手伝って、「認可初年度の99年は、8カ月間の医療機関への納入量が460万錠。2000年1年間の600万錠と合わせて1000万錠を超えている」(同社医療広報・原田憲成さん)
 ED患者の中で、利用者は40万人程度という。現在は病院の外来でも、勃起能力が残っているかどうかのテストはせず、とりあえずバイアグラを服用させ、効かない2、3割に身体的な治療をするというやり方が増えつつある。
 同社が作った別表のEDチェックをもとに、一応、心身とも健康と自任する男性の20代、30代、40代に、5、6人ずつ「自己査定」してもらった。その結果、20代も30代も「自分がEDとは思わないが、能力に自信があるかと聞かれると、あまりない」との答えが多かった。36歳の会社員は、
 「妻に対しては、(1)から(4)まですべてNOだが、外の相手なら、すべてYES」
 とフラチな答え。この会社員は、「仕事が忙しい」「疲れた」「妻は子育てで忙しく疲れている」などを、「免責事項」としてあげる。この場合は、EDというより「セックスレス」に近い。
 
 ○世代、性別で違う「強さ」
 バイアグラの服用はあくまで性的刺激があることが前提で、それに対して通常の勃起能力を促進する薬なので、妻にまったく性的興奮を感じられない(!)場合は役にたたないわけだ。
 また「自分はEDかも」という彼女いない歴23年の男性は、
 「自分は性欲そのものが薄いから、別に成立しなくても困らない。女の子が部屋にきても、友達ののりでしゃべって何もなく終わる。バイアグラを飲んでまで、自分を変えたいとは思わない」
 そもそも強い性的能力は男に不可欠という考え方も、世代が変わればかなり変化する。40代ではまだ根強いセックスヘの関心度や強さについての同調圧力も、今の学生たちの間ではほとんどないという。だからパートナーの不満さえなければ、EDでも性欲が希薄でも、一向に構わないわけだ。
 ともかくセックスを成立させれば夫婦関係はうまくいく、という観点から見れば、確かにバイアグラは悩める男の救世主かもしれない。が、東邦大病院や博愛会記念総合病院の調査で、バイアグラ服用患者の治療への満足度が100%に対し、パートナー側は満足度が70%、どちらでもない15%、やや不満は6%。継続希望は患者100%に対し、パートナーは67・5%だ。気になるのはこの差。1つはパートナー側が性交痛や性欲減少など性機能障害があるのに、夫側だけ欲求が強くなることへの不満、2つ目は副作用の心配だという。
 「これからの課題は女性。妻にも障害のある場合は夫婦で同時に治療することが必要ですから。とにかく治療を受ける前に、まずお互いの希望を話し合うことです」
 と永尾講師はいう。EDだから夫婦仲がこじれるのか、こじれているからEDになるのか。とにかく、悪循環を断ち切るきっかけは男性が自信をつけること……らしい。でも女心はビミョー。夫にED疑惑を持つある主婦は、苦笑しながらこう話す。
 「やみくもに強ければいいってわけじゃない。自分も女としてまだまだイケてるっていう、性的な魅力を再確認したいんであって、毎回バイアグラがないと成立しないっていうのは、何だかなーっていう感じですね」
 (ジャーナリスト・速水由紀子)
 
 <EDチェック>
 (1)常に勃起を達成し、維持させる事に自信がありますか?
 (2)勃起した際は、常に挿入するのに十分な硬さになりますか?
 (3)性交あるいは性的行為が終わるまで、常に勃起を維持することができますか?
 (4)勃起を達成し、維持させる能力について満足していますか?
     *
 以上の質問のうち、「いいえ」があれば、医師にEDについて相談してみましょう。

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